日本釀造協會雜誌
Online ISSN : 2186-4004
Print ISSN : 0369-416X
ISSN-L : 0369-416X
北海道の酒造り (II)
山田 正一
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 57 巻 8 号 p. 725-728

詳細
抄録

イ酒造工場内の室温は案に相違して比較的高く2-5℃を示し特別保温乃至加温の設備も無くても支障無い。もっとも中には周囲にスチームパイプを囲らしたものもあった。
ロ道全体に亘って20~50cm位の積雪がありそれも乾燥した粉雪であった。
ハ 清酒醸造において麹は箱式又は床式が大体行き亘っていた。切返機の使用も多い。酒母は速醸が絶対多数であったが添加酵母を自らで培養しているものが多く熟成酒母の香気がよいものは少なかった。何とか協会7号のような優良酵母を速達航空便で送り届ける道を講じたいものと思った。
ニもろみの最高温17℃は少々高過ぎて旧型の感じである。もろみ日数の延長を顧慮しての事と思うが他の温暖地方ですら15.5~14.5℃位を用いている例が多いから酒質も考え, もう少し低くする事を考究したら如何であろう。軽微な腐造もろみを3本見たが何れも酒母の出来が悪かったものと想像される。これはこの地方に限らず, 尚今後一層用心して絶滅を期し度いものである。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本醸造協会
前の記事 次の記事
feedback
Top