日本釀造協會雜誌
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清酒もろみの溶解に関する研究 (第2報)
清酒酵母の醸酵に及ぼす粘稠性物質の影響について
鼓 尚夫清水 剛
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1963 年 58 巻 12 号 p. 1181-1190

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抄録

1.清酒酵母の醗酵に対する各種粘稠性物質の影響, 澱粉と糊精の細胞死化に対する影響, 平均重合度の異なる糊精の保護効果について比較試験を行なった。
2.麹汁と人工培養液の混合培地において, 使用した粘稠性物質は醗酵促進効果が認められたが, 酵母の増殖は濃度により阻害される場合があり, とくに染色率に対してそれぞれ異なった影響が認められた。
3.澱粉及び糊精は細胞の死化の保護効果を有し, それは澱粉の方がより効果的である。
4.保護効果は澱粉, 糊精の平均重合度によって異なるものであり, 又その濃度によっても異なることが認められた。すなわちその最大効果は次のとおりである。
可溶性澱粉濃度糊精濃度
pHに対する効果 (pH2.3~6.3) 8~12% 8%
アルコールに対する効果 (4.0~20.0%) 16% 12%
平均重合度
pH4.0の場合の保護効果54.67
アルコール15%の場合の保護効果26.40
pH4.0, アルコール15%の場合の保護効果54.67
終りに臨み本報告の発表を許され御助言を頂いた本試験場坂井正治場長, 御指導を頂いた鳥取県工業試験場佐藤友清場長に深謝致します。

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