日本釀造協會雜誌
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蒸溜酒の綜合評価に関する研究 (第1報)
ブランデーの綜合品質と色, 香, 味の相関関係について
村岡 勝昭淡路 洋子
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1965 年 60 巻 11 号 p. 977-982

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抄録

蒸溜酒の綜合評価の検討のために, 国内, 国外産のブランデー19点を用い色, 味, 香,“綜合” にわけて, それそれ独立に評価を行ない, 分散分析, 相関分析, Haloerror, Leniency errorの推定を行なった。結果を要約すると次の通りである。
1) 各特性及び “綜合” とも, サンプル, 検査員, (サンプル×検査員) 間に有意の差を認めた。
2) (サンプル×検査員) 交互作用が有意であることは, パネルの評価基準に一致性がないものと判断しHaloerror, Leniency errorの推定を行なったところ, 2, 3の検査員の評価の傾向が他のそれと著しく異なったものであることを見出した。
3) Halo error, Leniency errorを減じた評点を用いて “綜合” との相関関係を求めると, 香, 味の両特性とも高度に有意であり, 特に香との相関係数が大であった。
色と他の特性の相関は有意の値を示さなかった。
4) それぞれ独立に得られた色, 香, 味の各特性の評点を合計した品質係数を用いサンプルの評価を行なうと,“綜合” による評価とよく一致するが,“綜合” の代りに用いることはなお今後の検討に待たなければならない。
以上の実験は既に述べた通り, パネルの選択, 評価基準の設け方など問題も多いと思われるが, ここにその一部を報告する。

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