日本釀造協會雜誌
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豆みそ醸造にわける乳酸菌添加工場試験 (第1報)
製麹時の添加について
好井 久雄森本 教円鈴木 政義
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1966 年 61 巻 2 号 p. 169-174

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抄録

みそ玉麹が乳鹸菌増殖の場としてきわめて好適である点を利用し, 豆みそ3工場の実際操作についてPediococcus Halophilus原菌を強化種麹方式, ならびに引込前にみそ玉中にねりこむ方式で添加して増強を計り, 対照麹と増殖量, 製麹中の成分変化を比較した。
1.3工場を通じ出麹のStreptococcusは108~10/g, Pcd.halohpilus, は106~8/gにおよび, みそ玉麹においては他種の麹に比し, 著量の乳酸菌増殖の行なわれることが再確認された。
2.原菌となる引込時のStreptococcusはおおむね103~6/g, Ped.halophhilusは103/g以上であり, 製麹中Streptococczsは104~5倍, Ped.Halophilusも103~4倍の増殖があるものとみなされる。
3.添加区の出麹の乳酸菌数は対照に比しやや多い傾向はみとめられるが, 類似しており, むしろ罰々の製麹操甑こおける菌数のばらつぎが大きい。豆みそ工場のすべてのみそ玉麹の様相が試験3工場のそれと同一の傾向を示すとはいいきれないが, 試験3工場においては引込時にPed.haloPhilus票菌としておおむね10319以上の原生菌が存在し, 製麹時間内にこの環境での到達可能最高レベル;こまで増殖が行なわれ, 添加 (104/9を目標として加えた) の効果をはっきりと出せなかったものと考える。
4.一般成分の変化の様相はいずれの区も類似しており, pH経過についても添加区と対照にとく1こ差はなかった。みそ玉の水分保持がきわめて良いのが, 著量の乳酸菌増殖をもたらす大きな原因と難定した。
5.みそ玉麹においては仕込後の原乳酸菌としてのPed.halophilusを製麹中に箇凸数レベルとしては充分増殖させ得ることが分ったが, 原生菌との量的関係, あるいはStreptoooccusとの競合の見地からの添加景, さらには添加の前提としての工場操作の菌数変動の要振については今後検討の要がある。

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