日本釀造協會雜誌
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酒造場酵母について (第8報)
酒造期間中の庫内汚染調査
菅間 誠之助大内 弘造加藤 邦昭麻生 直次郎川崎 恒
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1967 年 62 巻 9 号 p. 1022-1028

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抄録

協会7号酵母を使用する某酒造場で昭和41酒造年度に製造された全酒母麹, 全酒母, オドリおよびアル添 (三増) 前の全モロミについて清酒酵母調査を行なうとともに, これらが製造された庫内15箇所の清酒酵母数の経時的変動をしらべた。
i) 酒造開始後, 庫内清酒酵母は仕込工程の進行とともに酒母室, 仕込室, フナ場, ピン詰場の順に検出され, 作業によって庫内が汚染されることを認めた。
ii) フクレ前の酒母汚染度から酒母の基礎汚染量を考え, これが増大したときには, 普通速醸による酒母の育成法では培養酵母の添加効果が期待できないことを示めした。
iii) 酒造工程の汚染の進行を経時的にしらべ, 本調査の場合, 酒母麹→ 酒母→ 酒母の順で汚染が移行し, 増大したものと推定した。モロミの汚染は酒母の汚染がそのまま移行する。iv) モロミの野生酵母による汚染がモロミのBMD曲線, アル添 (または三増) までの日数, 成分およびモロミ末期の状貌に影響することを示した。

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