日本釀造協會雜誌
Online ISSN : 2186-4004
Print ISSN : 0369-416X
ISSN-L : 0369-416X
清酒醪の発酵管理に関する研究 (第15報)
α麹による清酒醸造
原 昌道斎藤 寛大塚 謙一
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 63 巻 5 号 p. 591-596

詳細
抄録

α麹による清酒醸造について検討した。
1) アルカリプロテアーゼ活性の強いα麹を使用して山廃酒母を造るとF-Nの生成量が著しく増大した。アミノ酸としては普通麹にくらべてGly., Ala., Met., lle., Leu., Phe., Thr., Glu.含量の差が著しかった。
2) Mg処理麹によりアミラーゼ力を強めた麹を掛麹に使用した場合粕歩合小さく, 痢酒結果も比較的良好であった。一般にα麹を掛麹に使用するとF-N大きく, 酸度も若干高くなるから麹使用歩合を若干減らす必要がある。
3) α麹により種麹試験をした結果からアミラーゼ力, プロテアーゼカ, カテコール酸化力が強く, 麹の褐変性が著しく大きい麹菌0 (単菌) が知られたが, この菌でα麹を造り, これを掛麹に使用した場合糖化速度, アルコール生成速度速く, もろみ中で既に褐変化が認められた。粕は著しく黒粕となり, 生成酒のITT値も極端に小さかった。
他方製麹水にFe, Mnを0.01M添加して造ったα麹はカテコール酸化力強く, 褐変性も大きい, しかしこのもろみは黒粕にならなかった。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本醸造協会
前の記事 次の記事
feedback
Top