日本釀造協會雜誌
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清酒中の微量金属と清酒の品質についで (第1報)
斎藤 富男斎藤 国弘中村 武司伊藤 康嶋崎 孝行佐川 浩昭黒須 猛行島田 豊明小武山 温之
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1972 年 67 巻 10 号 p. 881-885

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抄録

92点の市販1級清酒について, 原子吸光法により, Fe, Cu, Mn, Zn量を測定し, 一般分析および官能検査結果との相関係数を求め, それらの関係を検討し次の結果を得た。
1. CuおよびFeの含量分布は範囲が広かったが, MnおよびZnの分布は比較的狭かった。
2. 清酒の産地を三地区 (東京国税局管内, 灘・伏見地区, その他の地区) に分けて多その金属含量の分布と平均値を比較すると, Fe, Mn, Znについてはあまり差が認められなかったが, Cuに関しては差を認めた。
3. 金属含量と有意の相関が見出されたきき酒成績および分析成分のうち主なものは下記のとおりであった。金属名×きき酒成績または分析成分n γ (危険率) 金属名×きき酒成績または分析成分n γ (危険率)
(1) Cu× 日光照射後の着色 90 -0.2699 (5%)
(2) Mn× 酸度 90 0.2771 (1%)
(3) Mn× アミノ酸度90 0.3956 (1%)
(4) Mn× 日光照射後の着色 90 0.2698 (5%)
(5) Mn× フォリンの反応 89 0.4175 (1%)
(6) Zn× 総合成績89 0.2385 (5%)
(7) Zn× 味のきれいさ 89 -0.2631 (5%)
金属名×きき酒成績または分析成分n γ (危険率)
(8) Zn× 雑味89 0.2419 (5%)
(9) Zn× 老香89 0.2360 (5%)
(10) Zn× アミノ酸度89 0.4304 (1%)
(11) Zn× フォリンの反応88 0.3538 (1%)
(12) Zn×Cu 89 0.2200 (5%)
(13) Zn×Mn89

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