1972 年 67 巻 4 号 p. 334-352
昭和46年度における醤油・味噌の研究業績を通覧するに, 本邦の醸造工業の主役をなす麹菌の分類学が村上によって筋道立って明確にされたことは特筆されるべき研究業績であろう。大豆蛋白質の基礎および利用加工に関する研究と技術の報文・特許公告が著るしく増加していることが目につき, これらの知見は醤油・味噌の醸造にたつさわるものにとっても役立ち, また興味をひく点の多いことを思って広く収録した。酵素仕込など醤油・味噌醸造への酵素の積極的利用を目指し, 特に蛋白分解酵素系を精査する研究報文も数多くみられ, 一方品質の向上・安定化に関心が高まり, この方面の報文も多い。