予想されていたことではあるが70年代における日本経済の大転換は, 生産第一主義の高度成長から民生優位の福祉経済へ, といったスローガンによってわれわれは意識の転換を余儀なくされているが, 産業構造の急変といった形でその実態が次第に明らかになりつつある。これはまた清酒業界の経済環境の大幅な変化として受取らねばならない。そこで, 広い視野に立って, しかも業界の進路をキメこまかく見定めることが必要となるが, その第一弾として, 長野県の清酒とその解明を八十二銀行にお願いした。なお, 絞られた論点を通じて業界全般の基本問題にも突込んだ所見が展開されているので, 焦眉の問題となっている自由化に対する心構えの一般論として大方の読者が関心を寄せられることを期待したい。