日本釀造協會雜誌
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甘口ブドウ酒の醸造に関する研究 (第2報)
ベントナイト及びゼラチン処理による酒質に及ぼす影響
渡辺 正平荻野 敏加々美 久風間 敬一
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1973 年 68 巻 2 号 p. 119-123

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抄録

発酵中の膠にベントナイト (B) またはゼラチン (G) による単独処理, もしくは両者の併用 (B-G) 処理で発酵を停止させたブドウ酒の成分等酒質に及ぼす影響を検討した。
1.処理酒の脱色と復色
BまたはG, B-Gのそれぞれ1回処理の脱色順位はG>B-G>S (無処理でSO2250PPm添加)>B>無処理であった。SO2を使用しB, B-Gをそれぞれ2回に分割処理した場合ではB-G>B>無処理であった。また復色の順位は, 無処理>B>B-G>Gであり, SO2を添加したものはいずれも復色は少なかった。
2.再発酵の有無
B及びGで処理後, SO2を50~150PPm添加したものはいずれも再発酵を起さなかった。
3.処理酒の金属イオンの増減
FeはB処理で著しく増加するが, CuはB及びB-G処理によって100%, Gでも86%と著しく減少した。KはB処理で41%減少するがGでは少なかった。またCaはGもしくはB-Gで11~20%とかなり少なくなるが, Bではその影響はなかった。
4.処理酒の遊離アミノ酸
B処理ではスレオニンとプロリンが多少減少し (それぞれ4%, 21%), その他15種のアミノ酸は著しく減少した (40~100%)。Gの場合も同じ様な傾向であるが, ただB処理で消失したロィシンも70%減少しただけで, Bに比べるとアミノ酸の減少率は低かった。
5.処理酒の品質
G及びB-G処理では対照と比べて遜色はないが, 供試のBで処理したものは香味とも好ましくなかった。

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