企業社会に肌身で接してきた経済記者の視角からすれば, 産業構造の知識集約化, あるいは知識集約的商晶の開発ということは, せんじ詰めれば消費者の要求に適応せしめようとする経営努力にほかならないと筆者は規定する。清酒業界については全くのシロウトと告白することによって身軽に構え, 折からのワイン・ブームを軽妙に捕えて清酒業者への反省材料として提供することから筆を進めて, 清酒ばかり見つめないでシステム化を目指せと結んでおられる。
一般には必ずしも常識化されてはいない清酒の知識集約化が本論説によって読者に一層身近かなものとして理解されるであろうことを期待したい。