日本釀造協會雜誌
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高アルコール濃度における火落菌培地の検討 (第1報)
酵母エキス及びカザミノ酸の影響
竹田 正久中里 厚実塚原 寅次
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1976 年 71 巻 3 号 p. 183-187

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抄録

火落菌の半合成培地である田村培地においてエタノール濃度が15%以上になると同じエタノール濃度の清酒と比較した場合増殖開始が極端に遅れることを認めたので, 高エタノール濃度でも増殖する様な条件を田村培地を中心に検討した。
1) 真性火落菌でヘテロ発酵型のNo.59はエタンール17%で, ホモ発酵型の49Eはエタノール20%の田村培地では17~20日目頃から増殖を開始するが, 酵母エキスを添加すると9日目頃から増殖を開始する。酵母エキスの最適濃度は0.5%位であり, 1%以上では阻害作用を示す。エタノール7%では酵母エキスは僅かに促進効果を示すが無添加でも充分増殖する。火落性乳酸菌はエタノール17%で僅かに増殖するが酵母エキスの影響はみられない.
2) 真性火落菌でヘテロ発酵型のNo.59はエタノール15%の田村培地ではカザミノ酸濃度0.1~0.2%が適当であり, 0.3%以上になると極端に阻害がみられる。田村培地では0.5%のカザミノ酸を使用してあるが, この点は考慮されるべき点である。九かし酵母エキスを添加するとカザミノ酸の阻害作用が弱くなる。高アルユール濃度の田村培地で酵母エキス添加の効果がみられ増殖開始が早められたのはカザミノ酸の阻害作用の除表効果も考えられるが, この点については検討中である。エタノール7%(酵母エキス欠) では0.4~0.5%で僅かに阻害作用がみられるが, エタノール15%の時のように顕著でない。
ホモ発酵型の真性火落や火落性乳酸菌 (ヘテロ発酵型, ホモ発酵型) ではエタノール15%でも0.5%カザミノ酸濃度で阻害作用はなかった。

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