日本釀造協會雜誌
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Defferriferrichrome非生産性麹菌FN-48菌清酒の熟成試験
佐藤 信大場 俊輝高橋 康次郎
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1977 年 72 巻 11 号 p. 810-814

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抄録

市販種麹使用製成酒とデフェリフェリクローム非生産性麹菌FN-48菌仕込製成酒との40℃, 60日間貯蔵後における成分変化を比較して, 熟成の変化が異なるか検討した。さらに, デフェリフェリクローム非生産性麹菌使用製成酒にデフェリフェリクリシン (以下DFと略称) あるいは鉄を添加し貯蔵後における成分変化を検討し, 次の結果を得た。
1) FN-48菌製成酒の貯蔵による成分変化のパターンは, 市販種麹製成酒の変化のパターンと同じであった。
2) FN-48菌製成酒のモノエチルコハク酸含量は市販種麹製成酒に比べて著二しく多いが, 貯蔵による増加量はほとんど同じであった。
3) FN-48菌製成酒の貯蔵着色度は, 市販種麹製成酒のそれとほとんど同じであった。
4) DFは貯蔵中に減少した。
5) Fe2+, Fe3+は日光臭発生を促進した。そこで, DF非生産性麹菌使用製成酒に通常の清酒に存在する以上の多量の鉄が混入した場合は, 鉄による着色は起らなくても日光臭が発生するので, 製造工程における鉄の混入を極力防止する必要がある。
6) 老香, 熟度とも両製成酒は同程度であり, 熟成において異なる点は認められなかった。
7) DFはフェリクリシンに比べて約2倍活性炭に吸着されやすい。

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