日本釀造協會雜誌
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清酒中のカルシウム, マグネシウムの分析
難波 康之祐戸塚 昭大崎 善介佐藤 俊夫
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1977 年 72 巻 4 号 p. 305-309

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抄録

清酒中のCa, Mgを原子吸光法で測定する場合の前処理法として, 希釈法, 湿式灰化法 (湿灰法) および低温灰化法 (低灰法) を採用し, 回収率および分析精度を検討した。
Caは希釈倍率が高くなると測定値が大となる。湿灰法ではLa無添加のとき回収率の低下を示したが, 低灰法でLaを添加すると回収率もほぼ100%となった。また希釈法 (りゆ) と低灰法 (V) を用いて清酒20点を分析した結果y=0.96x-2.95 (r=0.9862**) と高い相関を認めたが, 希釈法では測定に影響を与える成分が清酒中に存在しているものと考察された。
Mgは, 前処理法に関係なくほぼ100%の回収率を示し, 希釈法 (x) と低灰法 (y) の間には9=0.89m+0.10 (r=0.9915**) と高い相関関係を認めた。
清酒中のCa, Mgを原子吸光法で測定する場合Caは灰化後La共存下で他の干渉を除く必要があるが, 簡便法として出来上り1%La, 0.5N塩酸濃度になるよう清酒を4~10倍に希釈する。Mgについては, 0.5N塩酸として10~50倍に希釈する。

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