日本釀造協會雜誌
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本格焼酎の油臭前駆物質のろ過による除去
西谷 尚道久保井 雅男菅間 誠之助
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1977 年 72 巻 4 号 p. 310-313

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抄録

本格焼酎に含まれるリノール酸エチルは油臭の主要な前駆物質であるが, これを石綿ろ過によって除去する条件について検討し, 製造場のろ過, 精製工程において使用し得る管理図を作成した。
1) リノール酸エチルの焼酎に対する溶解度は温度に比べてアルコール度数により大きく影響される。特に製品のアルコール分が35度を超えると急に増大する。
2) 焼酎に溶存するリノール酸エチルを希薄溶液の溶解度の観点より解析し, 溶解度とアルコール分および温度の関係式を導いた。
3) ニタノール水溶液にリノール酸エチルをけん濁して一定温度で保持した場合, 時間の経過とともにコロイド粒子が成長して, ろ過による除去率が高まる。
4) 石綿ろ過する場合, 処理酒のアルコール分, 品温, 処理後のリノール酸エチル濃度の三者の関係を示す管理図を作成した。

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