「天の美録」といわれる清酒の味を言葉で表現し, 相手に的確に伝えることは非常にむずかしい。これに対し, 清酒の分析値はその清酒のタイプを客観的に表現しており, 馴れた人であれば分析値をみるとその清酒のタイプが反射的に頭に浮かんでくるものである。
本稿には明治35年頃, 日本で最初に行われた全国統一清酒性状調査の分析テータの一部が掲載されているが, これにより, 当時の全国の清酒の状況を理解することができる。清酒の多様化が叫ばれる現在, 80年前の清酒の味を振り返り, 新製品の開発や現代の清酒に対する反省に利用してみてはどうであろうか。