79 巻 (1984) 1 号 p. 62-66
(1) 清酒酵母, 協会7号の香気エステル合成酵素, アセチルーCoA: アルコールアセチルトランスフェラーゼ (AATFase) について検討した。
(2) AATFaseの活性は, 14C-アセチルーCoAを用い, 本酵素により基質アルコールから生成される14C-酢酸エステルをHeadspaceGLCで定量する方法により測定した。
(3) AATFaseは酵母細胞膜あるいは細胞内膜構造体に結合した状態で存在し, 全活性の65~71%が105,000×g40分沈降画分 (P10) にみられ, 対数増殖末期に活性は最大となり, 培地のグルコースの消費と共に減少した。
(4) AATFaseの最適反応温度およびpHはそれぞれ30℃, 6.6で, 熱に対して比較的不安定であった。(5) 基質アルコールに対しては, C1-C6まで炭素鎖長と共に活性は高くなり, 1-ヘキサノールに対して最大活性からみられ, 清酒もろみにおける主要な酢酸エステル/アルコール比が本酵素の基質特異性から説明づけられた。
(6) AATFaseの活性発現には脂質が関与していることを明らかにした。
終りに,C.cylindracaeの精製lipaseを御恵与された,名糖産業(株)岩崎慎二郎博士,町田晴夫博士に深謝する。
なお,本報文の内容については,昭和54年度日本農芸化学大会(東京),同年度日本農芸化学会東北支部大会(仙台)および,同年度日本醸酵工学会大会(大阪)において発表した。