日本釀造協會雜誌
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乳酸菌・酵母の添加時期および量が醤油諸味の発酵に与える影響
松本 伊左尾今井 誠一
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1985 年 80 巻 4 号 p. 265-269

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抄録

醤油諸味へのP. halophilus, S. rouxiiおよびTorulopsis属酵母の適切なる添加時期および量を明らかにするため, 幾つかの試醸を行い, 次の結果を得た。
(1) 諸味中の乳酸菌数が107/gレベルに達しないうち (pHはおおむね5.2以上) に酵母を添加すると乳酸発酵は抑制され, S. rouxii添加ではその傾向が顕著であつた。
(2) Torulopsis属酵母の添加効果はT. versatilisで明らかであるが, S. rouxiiと同時に同一菌数レベル添加すると生育は抑制された。
(3) 乳酸発酵が旺盛な諸味では, わずかであるがアルコール発酵が抑制された。
(4) 以上の結果より, P. halophilusを仕込みもしくは加温開始時に106/9レベル, S. rouxiiは諸味pHが5.2以下になつてから105/gレベル, またT. versalilisP. halophilusと同時期に105/gあるいはS. rouxiiと同時に106/gレベル以上添加すべきであると結論づけられた。

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