日本釀造協會雜誌
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清酒醪中の香気成分生成に及ぼす胚芽, 無機イオン添加の影響
香味に特徴のある清酒の醸造に関する研究 (第4報)
北本 勝ひこ那須 伸次河野 正義高橋 康次郎戸塚 昭吉沢 淑
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1985 年 80 巻 8 号 p. 559-563

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抄録

総米100kgの仕込みを3本 (対照醪, 胚芽添加醪, Mg2+, K+, PO43-の無機イオン添加醪) 行い, 醪炉液中および製成酒の香気成分の変化について調べた。これらと関連が深いと考えられるalcohol acetyltransferase活性と酵母のATP量についても併せて検討した。
酵母によるアミノ酸代謝と関連の深い高級アルコールの生成については, 胚芽添加酵でi-AmOHの生成が多かったが, 無機イオン添加は対照と大きな差はなかった。TyrOH, TrpOHもi-AmOHとほぼ同様iのパターンを示したが, フェネチルアルコールの酵中の生成パターンはこれらと異なり,“落泡時” と “地” に2つのピークを持つ特徴的なパターンを示した。
i-AmOAcは胚芽添加が多く, 次いで無機イオン添加, 対照の順であった。また, E/A比では, 胚芽添加, 無機イオン添加が対照酒に比ベ, 製成酒でそれぞれ1.3, 1.2倍となった。
i-AmOAcの生成に関与していると言われているalcohol acetyhransferase活性の変化は, 留仕込後に減少し醪末期に再上昇したが, i-AmOAc量の生成パターンと見かけ上相関はなかった。

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