日本醸造協会誌
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生揚醤油中におけるステビオサイドの分解と生成物の化学構造
枝広 知新山本 晋平
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1991 年 86 巻 1 号 p. 68-74

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抄録

1.ステビォサイドは生揚醤油中で, その他のステビア甘味成分と異なり, 特異的に分解されることを高速液体クロマトグラフィー分析で確認した。しかし, 100℃で10分間の加熱処理を行った生揚醤油ではステビオサイドが分解されなかったため, 分解は, 生揚醤油中の酵素の作用によるものと考えられた。
2.ステビオサイドを生揚醤油で処理して, 得られた分解生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し, 分解生成物の結晶を得た。
3.この分解生成物およびそのアルカリ加水分解物の13CFT-NMRおよびFT-IRスペクトルを測定し, この分解生成物がルブソサイドであり, そのアルカリ加水分解物がステビオールモノサイドであることを確認した。したがって, 生揚醤油中におけるステビオサイドの分解様式は, ソホロース部のβ-1, 2-結合を特異的に加水分解するものであると結論した。
4.なお, レバウディオサイド-Aやレバウディオサイド-Cが生揚醤油中で分解されない原因は, レバウディオサイド-Aが, ソホロース部のβ-1, 2-グルコースーグルコース間にβ-1, 3-グリコシド結合の側鎖を持ち, 酵素の立体障害をおこすためと考えられる。また, レバウディオサイド-Cでは, β-1, 2-グリコシド結合が存在しないことによるものと考えられる。

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