熱傷
Online ISSN : 2435-1571
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原著
80歳以上の高齢者による自宅浴槽内での熱傷受傷に関する4年間の後ろ向き調査
山倉 凌太大谷津 恭之窪 昭佳上原 理恵岡田 邦彦
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キーワード: 高齢者,浴槽,熱傷
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2020 年 46 巻 2 号 p. 45-50

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抄録

 高齢化に伴い, 高齢者の低温熱傷や暖房器具の誤使用による熱傷の報告は多い. しかし, 浴槽での熱傷に焦点をあてた報告はこれまでにほとんどなく, 要因など不明な点も多く対策が立てられていない. 今回, 自宅浴槽で熱傷を受傷した高齢者症例の原因と経過を後ろ向きに調査し, その予防対策について検討した. 2014~2018年に, 当院救命救急センターで入院加療した80歳以上の熱傷患者で, 自宅敷地内で受傷した患者を対象とした. そのうち, 特に浴槽内での熱傷について受傷状況, 患者背景, 重症度から詳細を検討した. 80歳以上の自宅敷地内での熱傷患者は22症例で, 浴槽内受傷は4例だった. 4例中1例は湯の入った湯沸かし機能付き浴槽内に転落した. 3例は2ハンドル混合水栓 (湯の蛇口のみを開放すると熱湯が出る) で受傷した. そのうち女性2例は変形性膝関節症があり, 排水した浴槽から脱出できず受傷した. 3例とも臀部や下肢に浅達性Ⅱ度熱傷~Ⅲ度熱傷を認めた. 受傷要因としては, 入浴による血圧等の変化から起こる一過性脳虚血に起因する判断力低下や, 筋力低下等の身体的要因で浴槽からの脱出が困難となることのほか, 2ハンドル混合水栓そのものの危険性が考えられた. このうち, 熱湯注入による熱傷は浴室給湯システムの変更で予防が可能であり, 自宅の危険要因調査や予防対策を地域保健のネットワークなどと協力して行う必要がある.

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© 2020 一般社団法人 日本熱傷学会
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