医学部での教育のカリキュラムのなかに, 「熱傷」の項目がある. しかし, その内容については細部の規定はなく, 内容はそれぞれの大学に委ねられている. 今回, 現在の熱傷教育の状況を把握するために, 日本国内の実態を調査した.
その結果, 熱傷の講義は形成外科, 皮膚科, 救急科など複数科によってなされていた.
また講義の内容では, 熱傷の受傷面積の評価, 熱傷の原因, 熱傷の深度などは多くの大学で触れられていたが, mental support, 進行性無菌性壊死, 熱傷のリハビリテーションなどは講義で触れている大学は少なかった. 臨床実習で実際に熱傷患者を経験しているのは15%程度であるという結果を得た.
熱傷は日常臨床, 災害, 事故などでどんな医師でも遭遇する可能性の高い疾患の一つである. 今回の調査では, いずれの大学においても熱傷教育に費やす時間は短く, 内容も制限せざるをえないという実情が確認された. 以上の状況を鑑み, 熱傷に対しては卒後教育の検討も必要ではないかと考えた.