熱傷
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看護
形成外科における熱傷患者の看護援助に関する看護師の困難
阿部 晴日村中 沙織宮越 生美牧野 夏子髙橋 香菜美庭山 香織
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2023 年 49 巻 3 号 p. 155-163

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抄録

 本研究の目的は, 形成外科における熱傷の看護援助に関する看護師の困難について明らかにすることである. A病院形成外科病棟に勤務し, 熱傷患者の看護援助の経験を1年以上有する看護師9名を対象にフォーカス・グループインタビュー (以下FGI) を行った. FGIの内容は, 形成外科における熱傷患者の看護援助に関する看護師の困難で構成した. FGIの記録から困難に関連した内容を抽出して要約したところ, 熱傷看護における困難は101コードあった. そこから類似性と相違性に基づいて27のサブカテゴリー, 【鎮痛・鎮静管理下で行う熱傷創処置のむずかしさ】【重症熱傷受傷患者の移行ケアに対する不安】【熱傷創を抱えたセルフケア支援のむずかしさ】【ボディイメージの受容過程を援助するむずかしさ】【受傷過程に応じたメンタルヘルスケアのむずかしさ】【患者を取り巻く環境を考慮した退院支援のむずかしさ】【受傷にかかわった家族への介入のむずかしさ】の7カテゴリーが生成された.
 困難を抱いた背景には, 多様な専門的知識を必要とするケアが求められること, 複雑な背景要因 (患者の精神状態, 家族との関係性, など) や患者の個別性を考慮した退院支援介入が求められる, などが考えられた. 困難を解決するためには, 熱傷看護の経験知 (たとえば, 困難事例に対する事例検討, 外来との連携を通して退院後の患者状態を知る機会を設けるなど) を増やすこと, 多職種連携を強化すること, 各領域の専門家やリソースナースを活用すること, などが有用と考えられた.

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© 2023 一般社団法人 日本熱傷学会
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