Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
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予測性を考慮した新規回帰分析手法の開発および二酸化炭素分離回収に用いるアミン化合物の分子設計
三島 和晃金子 弘昌船津 公人
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2013 年 14 巻 p. 1-10

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抄録

二酸化炭素の回収・貯留(carbon dioxide capture and storage, CCS)において二酸化炭素の分離回収法としてアミン化合物による化学吸収法が広く検討されており、分離回収のコスト低減のために吸収および放散の性能が高いアミン化合物が必要とされている。高い性能をもつアミン化合物を探索するためのアプローチの一つとして、定量的構造物性相関モデルと構造ジェネレータを利用した分子設計が挙げられる。本研究では、予測性の高いモデルを構築することを目的として、変数選択手法であるgenetic algorithm-based partial least squares (GAPLS)法と複数のモデルによる予測結果を統合して予測を行うアンサンブル学習を組み合わせたensemble GAPLS (EGAPLS)法を提案した。アンサンブル学習を利用することで、単独のGAPLSモデルよりも高い予測精度をもつモデルを構築することができる。また予測値のばらつきを考慮することで、予測値の信頼性を評価することが可能となる。3級アミン化合物の二酸化炭素吸収速度および放散量のデータを用いて物性予測モデルを構築し、cross-model validation (CMV)を用いてモデルの予測精度を検証した。その結果、EGAPLS法を用いることで高い予測精度をもつ物性予測モデルが得られたことを確認した。構造ジェネレータにより出力された構造に対してこのモデルを適用することで、二酸化炭素の分離回収に用いるアミン化合物として有望な化学構造を得た。

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© 2013 日本化学会
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