Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
生命の起源におけるタンパク質ワールド仮説に登場する [GADV]-タンパク質のスレッディングおよびab initioモデリングによる立体構造推定
小田 彰史福吉 修一中垣 良一
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14 巻 (2013) p. 23-35

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抄録

生命がタンパク質から生まれたとするタンパク質ワールド仮説の一つに、グリシン・アラニン・アスパラギン酸・バリンのみからなる最初期のタンパク質([GADV]-タンパク質)から生命が生まれたとするGADV仮説がある。4種の残基しか含まない[GADV]-タンパク質がタンパク質として立体構造を取り得るかを構造生物学的に調査した実験研究は存在せず、またコンピュータによるタンパク質立体構造予測手法についても、通常のタンパク質に対して設計された手法が[GADV]-タンパク質に対して正常に機能するかどうか調べた研究は存在しない。そこで本研究では、タンパク質立体構造予測手法を[GADV]-タンパク質に適用し、その結果を比較した。既存の手法では現存するタンパク質の立体構造を参考にして新規タンパク質の立体構造を予測することが多いが、これらの手法を用いると [GADV]-タンパク質の予測構造中にβ-構造が豊富となることがわかった。これはバリンのβ-構造形成能が影響している可能性がある。β-構造の多いモデルを分子動力学シミュレーションで緩和するとごく短時間で大きく崩れることから、不安定な構造であることが示唆された。この傾向は既存データを利用する度合いの高いスレッディングのほうがab initioモデリングよりも強かった。分子動力学シミュレーションではβ-構造のみならずヘリックスも多く観測されており、[GADV]-タンパク質に対しては単純にニュートン方程式を解くだけの分子動力学シミュレーションが、既知情報を利用した手法を上回る可能性が示唆された。

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© 2013 日本化学会
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