Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
データベース更新によるJust-In-Timeモデルの予測精度の改善
田中 健一金子 弘昌長阪 匡介船津 公人
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16 巻 (2015) p. 1-14

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抄録

化学工学プロセスにおいて実時間測定が困難な変数の値を推定するための手法としてソフトセンサーが広く利用されている。しかし、触媒の劣化や製造銘柄の変更に伴い説明変数Xと目的変数yとの関係が変化した場合、変化前の状態で測定されたデータを用いて構築されたソフトセンサーでは変化後の状態でyの値を予測することは困難である。この問題はソフトセンサーモデルの劣化と呼ばれ、それに対応するため各種の適応型ソフトセンサーモデルが提案されている。本研究では適応型ソフトセンサーモデルの中でJust-In-Time(JIT)モデルの予測精度の改善を目指す。JITモデルでは予測対象のXのデータと類似度が高いデータを既存のデータの中から選択したり、類似度が高いデータほど大きな重みを与えたりしてモデル構築を行う。この際、Xの値は類似しているにも関わらずyの値が異なるデータが既存のデータに含まれる場合に適切な回帰モデルが構築されず予測精度が低下してしまう。そこで本研究では、Xの空間では類似しているがyの空間では異なるデータを除外した新たなJIT用データベースを管理し、JIT用データベースのみを用いてJITモデルを構築する手法を提案する。JIT用データベースはyの測定値が得られるごとに更新される。適切にJIT用データベースを管理することで予測的なJITモデルを構築できる。5種類の状態遷移(y-shift・X-shift・Slope-change・y-shift + Slope-change・X-shift + Slope-change)および3種類の遷移速度(Instant・Rapid・Gradual)の全組み合わせで発生させた計15種類のシミュレーションデータに対して本手法を適用したところ、全てのケースで従来のJITモデルと比較して予測精度の改善が認められた。

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© 2015 日本化学会
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