2017 年 18 巻 p. 143-148
フラグメント分子軌道(fragment molecular orbital; FMO)法は、近年巨大分子系の電子状態計算手法として、注目を集めている。FMO法の特徴として、系を分割したフラグメント間の相互作用エネルギーinter fragment interaction energy (IFIE)が計算でき、応用上IFIEが非常に有用であることが示されている。しかしながら、共有結合しているフラグメント間のIFIEが異常に大きな値(約-15 hartree)を取るため、フラグメント間(1-2)のIFIE解析を妨げる大きな原因となっている。そこで、この問題を解決するための補正方法を仮想的な解離過程を想定して検討した。