2005 年 6 巻 p. 30-36
近年、AIPHOS、TOSPやEROSをはじめとする合成経路設計システムは実用段階となっている。しかしながら、これらシステムが創出する合成経路のすべてを実験的に検証することはきわめて困難である。計算化学は化学反応の機構を研究する上で強力なツールで、この手法を合成経路設計システムが創出した目的化合物の合成経路に適用した反応解析を行うことにより、その経路で合成が可能かどうかの判断ができると期待される。本研究では、置換フラン-2,3-ジオンに対して、既に知られている合成経路とTOSPプログラムが創出した2つの合成経路の計算化学的検討を行い、計算化学的手法が合成経路の可能を評価できるかどうかについて検証を行った。