クラウンエーテル部位を持つスピロベンゾピランの水と1,2ジクロロエタン二相系における分配を分子動力学法を用いてシミュレーションした。クラウンエーテルの大きさに関係なく、スピロベンゾピランに導入したアルキル鎖の長さにより、立体エネルギーは変化を見せた。立体エネルギーは、どのモデルとも有機相ではほぼ一定であったのに対し、水相での立体エネルギーは、導入したアルキル基が長鎖になるに従い大きくなった。結果として、両者の差はアルキル基が長くなるに伴い大きくなり、相対的に有機相で安定となっていた。また、計算後のスナップショットにおいて、界面に置かれた配位子は、長鎖のアルキル基から有機相へと入り込み、安定化する様子が確認された。