【目的】喫煙と発癌との因果関係は数多く報告されている.今回,我々は喫煙による有害作用として,活性酸素による DNA 酸化修飾物質であり発癌との因果関係も指摘されている 8-ヒドロキシデオキシグアノシン (8-OHdG) を指標に抗酸化成分による介入試験を行った.
【対象と方法】健康な喫煙者(男性 6 名,女性 6 名,平均年齢 38 歳,平均 Brinkmann 指数 264)を対象に行った.抗酸化成分として PICACE® (Pycnogenol® 15 mg/capsule, Vitamin E; 56.1 mg/capsule, Squalene; 138.9 mg/capsule) 4 カプセル/日を 14 日間服用し,服用前,服用後 3,7,14 日目,服用終了後 1 ヶ月目の尿中 8-OHdG を高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法で測定した.
【結果】服用 3 日目の尿中 8-OHdG は,クレアチニン換算値で 3.7±1.3 ng/mg CRE(平均±標準偏差)で,服用前の 5.0±2.0 ng/mg CRE より有意に低下していた (p<0.01).服用終了後 1 ヶ月目の尿中 8-OHdG は,4.7±0.9 ng/mg CRE であり,投与中止によって再上昇した.
【結論】抗酸化成分複合物である PICACE® は,喫煙による DNA 酸化傷害を抑制することが示唆された.