2008 年 5 巻 3 号 p. 209-218
糖尿病では,持続的な高血糖状態による酸化ストレスが病状の進行や合併症の誘発に密接に関与する.そこで,霊芝菌糸体培養培地抽出物 (WER) の抗酸化活性を調査し,ストレプトゾトシン (STZ) 誘発糖尿病マウスを用い,WER の糖尿病態改善効果について検証した.
WER の O2− 消去能および過酸化脂質産生抑制能を調査した.また,STZ 糖尿病マウスに WER (1 g/kg) を約 2 ヶ月間 1 日 1 回経口投与し,血糖値,体内酸化ストレス度,臓器の過酸化脂質含量および抗酸化酵素 (catalase, SOD, GPx) の活性について検討した.
WER は濃度依存的な O2− 消去能および過酸化脂質産生抑制能を示した.WER を投与した STZ 糖尿病マウスでは対照群に比べ血糖値および血中酸化ストレス度の有意な低下が認められた.また,WER は腎臓および肝臓の過酸化脂質含量および抗酸化酵素活性を正常群と同レベルに維持し,組織学的障害を軽減した.これらの結果から,WER は糖尿病における高血糖および酸化ストレスを低下させ,臓器障害を予防・改善する可能性が示された.