抄録
ラクトフェリン (LF) は乳(特に初乳),涙,唾液等の外分泌液に存在し,抗微生物作用や免疫調節作用等を示すことから,生体防御因子として作用していると考えられ,これまでに各種ウィルスへの感染防御作用が報告されている.今回,牛乳由来の LF の継続摂取が風邪・胃腸炎へ及ぼす影響を評価することを目的として,アンケート調査を実施した.健常成人女性 398 名を摂取群(199 名)と非摂取群(199 名)に分け,摂取群は LF 含有食品を 3 ヶ月間摂取した.その結果,風邪等症状(喉の痛み,咳,痰,鼻水・鼻詰まりの少なくとも 1 つ)と胃腸炎症状(腹痛,下痢,食欲不振の少なくとも 1 つ)を発症した人数は,3 ヶ月目において摂取群で非摂取群に対して有意に少なかった.このことから,LF 含有食品の継続摂取は,風邪等症状や胃腸炎症状の発症を抑制する上で有効である可能性が示唆された.