2020 年 11 巻 1 号 p. 55-61
自閉スペクトラム症の(ASD)の正しい理解に基づく対処スキルの向上を目的とした介入は乏しい.我々は先行研究を基に「児童思春期の高機能ASD者とその保護者を対象とした認知行動療法(CBT)を用いたASDの心理教育プログラム(Aware and Care for my Autistic Traits: ACAT)」を開発した.本研究はACATの有効性を多施設型ランダム化比較試験によって明らかにする.
48名の参加者を24名ずつACAT群および通常治療群に割り付け,ACAT群は,通常治療(通院精神療法)に加え週1回100分のセッションを6週間,10週目にフォローアップセッションを受けた.両群間に対し,効果指標の変化量の比較を行う.主要評価はAutism Knowledge Questionnaireである.本研究は児童思春期のASD者に対するエビデンスに基づく治療戦略に貢献するものと期待される.