抄録
京コンピュータをはじめとしたクラスタ型超並列計算機で効率的に超並列FMO計算することを目指して,並列FMOプログラムOpenFMOの高性能化に取り組んでおり,一環としてモノマーやダイマーの小規模電子状態計算部分の最適化を行った.MPI/OpenMP hybrid並列化や,新たに実装したグローバルカウンタを用いた動的負荷分散の適用などにより,フラグメントの電子状態計算で負荷の大きな分子積分計算部分の並列化効率が256並列時に94%になった.その一方で,100並列を超えるフラグメント電子状態計算を行う場合には,数10並列時にはほとんど性能に影響しなかった対角化などの並列化困難な部分の存在により,並列性能が低下していることが明らかとなった.また,2万並列でのHF/FMO計算を約30分で行うことが出来たことから,近い将来,1000フラグメント程度の分子に対するFMO計算を手軽に行えるようになることが期待される.