Journal of Computer Chemistry, Japan
Online ISSN : 1347-3824
Print ISSN : 1347-1767
ISSN-L : 1347-1767
研究論文
原油増進回収におけるCO2/油系溶解現象の 分子動力学解析
植村 豪小寺 厚津島 将司河村 雄行平井 秀一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 12 巻 4 号 p. 222-229

詳細
抄録

CO2を用いた原油増進回収(Enhanced Oil Recovery, EOR)は,原油が取り残された油田にCO2を圧入することで原油回収率を高める技術であり,原油の増産と同時に二酸化炭素の隔離が可能な技術として,近年注目されている.EORでは油田中に圧入されたCO2が残存油に溶解することで,粘性低下,体積膨張など,油の物理化学的性状が変化し,原油回収率が高まるとされている.油へのCO2の溶解が原油回収率の向上と密接に関係していると考えられるものの,CO2の溶解に関するメカニズムは未だ解明されていない.このため,本研究では油へのCO2の溶解に関して分子論的な知見を得ることを目的とし,分子動力学シミュレーションを行った.単成分系を仮定した油(シクロヘキサン,C6H12)を用い,CO2が溶解した平衡状態において解析を行い,さらに分子間相互作用の一つであるクーロン相互作用が溶解現象に及ぼす影響についても考察した.その結果,油に対してCO2がクラスター構造を伴って溶解していることを示した.

著者関連情報
© 2013 日本コンピュータ化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top