Journal of Computer Chemistry, Japan
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研究論文
2011年3月15 ∼16日の福島県中通り地方の空間線量率シミュレーション
若月 泰孝青山 智夫滝川 雅之
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2014 年 13 巻 5 号 p. 268-277

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抄録

福島第1原発の事故に伴う放射性物質の拡散沈着量を推定するために,トレーサ濃度の質量沈着方程式を検討した.この沈着方程式は,大気中における放射性物質の拡散沈着シミュレーションによる大気中の濃度と降水量から,地上の空中線量率を求めるための式である.トレーサ中の放射性核種からのガンマ線束が評価され,空間線量率を理論的に計算することができる.空間線量率の観測値を用いて,方程式中の4つのパラメータを最適化した.この方程式は,大気の拡散沈着シミュレーション結果の経験的補正式として機能するだけでなく,物理的な沈着過程の理解にも結び付く.本経験式をパラメータ最適化地点以外の任意の地点(R114,R399,福島県の磐越高速道路沿いの32地点)の2011年3月15日∼16日の空間線量率の計算に適用した.これらは文部科学省,KEK,福島県によって測定されたものである.計算値の71%は誤差比率3.1以下であって,誤差は非最適の場合より有意に小さくなった.

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© 2014 日本コンピュータ化学会
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