Journal of Computer Chemistry, Japan
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速報
世代の起源 Heisenberg方程式からSchroedinger方程式へ
鳴海 英之
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2016 年 15 巻 3 号 p. 55-56

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Abstract

We changed a mass formula obtained by the Heisenburg Method into one expressed in Schroedinger style and tried to clarify its physical meanings including of the origin of generations.

1 初めに

この小論では,3世代の電子類(荷電LEPTON 即ちe, muh, tau)の質量のみを扱い「世代」の起源を探求したいと思います. e,muh,tauは,同じ電子類の仲間で,質量のみが違い電荷,Spinが全て同じです. 従って,これら3者は,一つの「世代」をつくると言われています.「世代」の存在は大きな謎と言われており,その根本的な解明は,大変難しいでしょうが,この小論でその第一歩を見つけたいと考えます.上記の3世代粒子の質量の間には,7桁にも及ぶ極めて精密な関係が見出され,「小出の式」として知られています [1] [2].   

m 1 + m 2 + m 3 = ( 2 / 3 ) ( m 1 + m 2 + m 3 ) 2 (1)
.

3世代の電子類は,S3の対称性を持つので(1)式は,cyclicな3 × 3行列   

      [ A B C C A B B C A   ] , (2)
.を用いた固有Vector (Heisenberg)方程式を用いて調べることができます [3].(2)は具体的には,   
Γ ( η , δ ) = ( 1 η e x p ( + i δ ) η e x p ( i δ ) η e x p ( i δ ) 1 η e x p ( + i δ ) η e x p ( + i δ ) η e x p ( i δ ) 1 ) , (3)
.
(3)式に,つぎの(4)式の固有Vectorを掛けて固有方程式を解きます.   
| n = ( 1 α + n α n ) , n = 1 , 2 , 3 (4)
;.
  
α e x p ( 2 i π / 3 ) .
固有方程式は,   
Γ ( μ , η , δ ) | n = λ n | n = μ ( 1 + 2 η c o s ( δ + 2 n π / 3 ) ) | n , (5)
.
上記固有方程式の解は, 下の(8)の式ようになります.   
λ n m n (6)
と置きます.   
(7)
μ ( λ 1 + λ 2 + λ 3 ) / 3 (7)
;
  
η = 2 / 2 , δ = 2 / 9.
  
m n / μ λ n / μ = 1 + 2 η c o s ( δ + 2 n π / 3 ) (8)
.
  
n = 1 , 2 , 3. ; π / 3 c .

ここで, η δ は, parameterで3世代の質量を再現するように経験的に得られたもので,上では分数で表現しました [3]. 式(8)(無次元)を使えば,(1)式を数学的に証明できます.

数学的証明のみでは自然科学としては不足で,これらparameterの物理的意味の解析が必要ですが,まだ未解決の問題です.

単なる m なら,Dirac方程式になるはずですが, m であるので,以下の(9),(10)のような2階の相対論的Schrodinger方程式を仮定します [4].

n = 1,2,3は,3つの世代を表す世代数です.

n = 0の時cosの中身は δ となります.

2 計算

(8)式の第2項を, Schroedinger方程式   

Ψ * = Ψ * (9)
,    H = K+P .    (10)    のPであると仮定します.

すなわち,   

P = 2 η ( e x p i ( δ + n c ) + e x p i ( δ + n c ) ) / 2 (11)
.上の式のKは,Kinetic Energy,PはPotential Energy を表します.

つまり,「世代」を解明するために,粒子(電子)にあえてScalorな内部構造を持たせます.

粒子は,相対論的であるとします. 以下, 波動関数(場)は,    Ψ = exp(ix)exp(iy)exp(iz)exp(iu) .    (12)    であるとします. この場を仮定すると,後述の(14)式ようにKinetic Energyが1になります.

x,…,u は座標です.

Kinetic Energyは,   

K = ( 1 2 ) ( 2 x 2 + 2 y 2 + 2 x 2 2 u 2 ) (13)
.で与えられます.

(12)と(13)から,   

  Ψ = 1 (14)
.を得ます.

(14)式のように,経験式(8)の第1項の1を表す事ができました.

これで,少なくとも上記の諸仮定を認めれば,固有Vector方程式が相対論的Schroedinger方程式で表されたことになるでしょう [4].

上に述べたような,2階の偏微分で表されたKinetic EnergyにPotential Enegyを加える表式は,量子化学でも見られます [5].

3 考察

難問と言われる「世代」を説明する為に,内部構造が無いとされる電子類の表式に,経験値を再現する為にScalorなPotentialを付け加えました.「世代」の起源をPotentialの相違に帰した事については,更に議論の余地があるでしょう.

n = 0の場合の実測値は,得られておりません.その意味は,「世代」の存在と共に, 質量を与えるHiggs Bosonの場によって将来解明されるでしょう.

世代の量子数は,有限で1,2,3の3個しか有りません.0を仮に入れるとしても,せいぜい4個です.これは,見かけ上多数ある水素原子の量子数と比べると奇異なことです.空間が,3次元であり,時間が1次元である事と関係があるのでしょうか.此の事も,将来の課題でしょう.

Parameter η,δの物理的意味は,今の所不明ですが,それらの意味が明らかになった時, 何故3世代があるかの疑問に対する解答は,大きく前進するでしょう.

その解答は,電子類と同じく,3世代を持つneutrino,quark 2種にも適用されるでしょう.

参考文献
  • [1]   Y. Koide, Lett., Lett. Nuovo Cim., 34, 201 (1982).
  • [2]   Y. Koide, Phys. Lett. B, 120, 161 (1983).
  • [3]   C.A.Brannen, http:brannenworks.com/MASSES 2.pdf.(2006).
  • [4]   W. N. Cottingham, D. A. Greenwood, An Introduction to the Standard Model of Particle Physics, Cambridge University Press (1998),sec.3.5.
  • [5]   H.Hosoya, RyoosiKagaku,Saiensusha(1980), sec.2.7.
 
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