2017 年 16 巻 3 号 p. 70-76
環境中のγ線線量値を長期にわたり予測するため,放射性核種の物性と担体の拡散を考慮した空間線量値の時間変化を直線化する方法を提示した.現象の変化が直線化できると予測は線形補外となる.交差検証法で過去のデータの一部を用いて予測を行い実測との対応から予測精度を見積る.将来の予測計算も,過去の処理と同一である.方法自体の精度のオーダは同じである.本処理の可能性を示す指標も示した.
福島県伊達市下小国集会所のモニタリング・ポストのデータでテストすると,線量予測式と実測値の決定係数は0.9以上,1年先の予測値では0.7であった.観測点の気象的擾乱,周辺環境の変化は決定係数の低下として現れる.
我々は,福島原子力発電所事故により他の市町村に避難し,帰宅時期を考慮している人を想定した.