Journal of Computer Chemistry, Japan
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研究論文
MOPAC2016新ハミルトニアンによる水素結合,Diels-Alder 反応, イソシアネートのウレタン化反応,光異性化反応等 のシミュレーション解析と評価
染川 賢一上田 岳彦
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2018 年 17 巻 2 号 p. 85-91

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抄録

最近のMOPAC2016ハミルトニアンPM7を用いて, 基礎的な化学結合, 水素結合(Hb), 立体選択的Diels-Alder (DA) 反応, 実用的なイソシアネートのウレタン化反応そして光異性化反応等のシミュレーション解析を行い, その構造とエネルギー情報につき、実験値および他の計算値と比較評価した. 上記一部につき前報[1]では PM6法で可成りの理解は得られたが, 問題点のあることも指摘した. PM7での解析では、分子内、分子間の結合 距離とエネルギーの小さい変化の評価で向上が見られ, 分散力算出等の改善の有効性が示唆された. 例えば上記 反応2例では、より大きい水素結合エネルギー(EHb)と分子間相互作用エネルギー(ELn)の算出で安定錯体 (B)の存在推定と, より実験値に近い活性化エネルギー(Ea)が見積られ, Figure 1等の反応プロセスと遷移状態(TS)の評価改善が推定され, またBなどの低温での解析実験法を提案した. 簡便で定量性の改善された MOPAC2016は教育や実験の現場等で積極的活用が期待される.

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