Journal of Computer Chemistry, Japan
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巻頭言
学ぶこと
石川 誠
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2018 年 17 巻 2 号 p. A3

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現在,日本コンピュータ化学会の講習会企画を担当しております.そのこともあり,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の発表の講評もさせて頂きました.また,最近では各種IT勉強会に参加する機会もあり,改めて謙虚に「学ぶこと」が重要と感じました.

さて,SSHとは「高等学校等において,先進的な理数教育を実施するとともに,高大接続の在り方について大学との共同研究や,国際性を育むための取組を推進します.また創造性,独創性を高める指導方法,教材の開発等の取組を実施します.(国立研究開発法人科学技術振興機構次世代人材育成事業より引用)」となっております.そのような背景もあり,高校生の研究発表に対して質問や講評など,いろいろな面で生徒らが行ってきた研究に対してフォローアップする姿勢でSSHの研究発表会に参加して参りました.特に,冬と夏に連続でSSHに参加する機会があり,非常に自身の勉強にもなりました.しかし,高校化学の場合,限られた予算,施設,器具の中で,安全に実験を行わなければなりません.企業や大学のように,いとも簡単に魔法の分析機器で分析して,何が起きて何ができているかを解明することは難しいです.しかし,生徒らは,先生と相談したり,調査の中でできることを工夫して実験したりします.だからこそ,彼らの発表の中に,生徒自身の研究にこだわりを感じとれました.

最近,休みや夜間など利用してITの勉強会に参加する機会を作っております.色々な世代が,それぞれの理由で「学ぶ」場として参加しております.フリーランスの方や学生も多く,その真剣さは見習うものがあります.将来への不安もあり,参加している方が多いのも現実であり,IT業界の難しい世界を見たような気がします.

色々な「学ぶ」形があるにせよ,意思を持って「学ぶこと」は,その人にとって重要なことであり,そのような場を作ることの重要性,必要性を痛切に感じます.日本コンピュータ化学会の講習会として,分子動力学講習会を企画,実施いたしました.多数の参加の中で,勿論,多数の学生も参加しておりました.講習会終了後,学生たちが作る質問の列は,自身の研究フィードバックしたい意思の表われとだと思います.

学会や研究会では,夏の学校などコミュニティを広げる機会があります.普段のコミュニティの場から広いコミュニティの中で,色々な事を「学ぶ」場であると思います.日本コンピュータ化学会の中で,色々な世代とのコミュニティを生かし,次の世代の育成ができればと思っております.夏の学校のようなスタイルができればと思いますが,若手が企画,参加できるコミュニティに繋がる機会ができればと.

 
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