Journal of Computer Chemistry, Japan
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巻頭言
2018秋季年会 in 弘前 を終えて
岡崎 功
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2018 年 17 巻 5 号 p. A19-A20

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秋季年会を終え,年会の後処理と滞っていた校務などをして約1カ月半ほど経ちました.巻頭言も依頼されていました.書こうと思ったのが10日ほど前のことで,結局締め切り当日の朝に書き始めています.このてのものは筆がなかなか進みませんが(苦手です),締め切りの直前だとなんとかやり始めるものです.逆に締め切り日を過ぎた場合はモチベーションが下がりますね.自分が学生の頃はどうだったか覚えていませんが,いまの学生をみていると,この状況は同じだろうと思います.このたび,秋季年会の実行委員長を務めさせていただいたわけですが,年会開催の全体を俯瞰することにもなりました.そして,意外なほど締め切りを過ぎる方々が多かったという事が印象に残るひとつでした.みなさん日々多忙なのでと思います.良い意味での多忙であればよろしいのですが,悪い意味での多忙が現状では多いのでは?と感じることもあります.

さて,私の正式な所属は,弘前大学教育研究院自然科学系機能創成科学領域になります.専任担当が大学院理工学研究科になります.学部学科の担当は理工学部電子情報工学科です(何年か毎の改組で現在このようになっております).運営はいまのところほぼ学科単位で行われています(そのまま上の大学院理工学研究科理工学専攻に各学科に対応したコースがある).上の表題の所にある所属は正式なものではないですが,実情と一致してわかり易いのでそのように記載しました.前置きが長くなってしまいましたが,今回の秋季年会実行委員として一緒に準備をした先生方3名は,同じ理工学研究科で計算化学をしている,もしくは近い分野の先生になります.電子情報工学科 丹波澄雄(自然科学系安全システム工学領域),物質創成化学科 宮本量(自然科学系機能創成科学領域),物質創成化学科 山﨑祥平(自然科学系機能創成科学領域)の先生方です.

私の所属(のようなもの)が電子情報工学ということで,これまでに電気学会C部門や電気関係学会東北支部連合などの学会開催のお手伝いをすることはありました.しかし,全体を取り仕切って進めるという経験は初めてでした.そもそも,自分はいわゆる量子化学の出身であり現在の研究分野もほぼ同じです.はるか昔は,学生の頃,原子のCI計算をしていました(ATOMCIプログラム).その後,ヘム錯体などの電子状態計算(JAMOL, AMOSS, ProteinDFプログラム),ヘモグロビンなどのMD計算(AMBER, COSMOS90プログラム),電子ダイナミクス計算(プログラム開発中)をしています.広く浅くな感じが否めなくも無いですが,原子・分子がかかわる物理・化学・生物のソフトウェアあたりが自分の強みになっているでしょうか? 秋季年会の特別講演では2人の先生方にお話しをして頂きました.ちょうど,スケールが大きい(長い)対象と,スケールが小さい(短い)対象についての研究と言っても良いかも知れません.両方とも興味深く拝聴・勉強させて頂きました.

一般公開イベントではブース展示に加え,中学生によるポスター発表を行うことができました.自分たちの世代ではこのような機会は皆無だったのではないでしょうか.いろいろな政策により,教育課程の上下が密接になっています.(横はあまり変化していない?) これは情報社会で必要とされる問題解決能力の育成,つまり教育現場に教科「情報」が導入され,新しい学力観を育成しようとしているためと思います.また,いまはインターネットでいろいろな情報を調べることが出来るようになりました.知りたい事柄について検索すると,いちおう,それっぽい事は出てきます.しかし,いわゆるゴミ情報が多いし,情報はあっちこっちに分散しているし,まだまだ便利では無い.別の苦労があります(教科「情報」では情報活用の実践力と関係します).よりいっそうの発展をさせてゆかねばなりません(と,巻頭言を書いていて思いました).

最後に,秋季年会の開催にあたり,じつに多くの方々にご協力を頂きました.改めてここにお礼を申し上げます.

 
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