2003 年 2 巻 2 号 p. 57-62
2,6-Bis(quinolinecarboxy)methylpyridine (P2Q)を、金属イオン用蛍光性化学センサーとして合成した。P2Qは殆ど蛍光を示さない系であるが、亜鉛或はカドミウムイオンが存在すると蛍光を示すことがわかった(If,Zn > If,Cd)。そこで、P2Q-亜鉛錯体の発光メカニズムについて、時間依存密度汎関数法による非経験的分子軌道計算を用 いて調べた(Gaussian 98, 6-31+G(d))。その結果、P2Qは、亜鉛イオンと錯形成することによって、最低励起状態がnπ*からππ*に変わり、蛍光を発するようになることが示唆された。