2010 年 9 巻 5 号 p. 231-240
我々は,晴天はデジタル画像解析でどのようにとらえられるかを解析している.デジタル一眼レフカメラにより撮影された晴天の何の処理も加えないRAW形式のデジタル画像データを解析し,青/赤(B/R) 比が晴天の指標として利用できることを先に報告した. 現在広く使われているデジタルカメラは,携帯電話端末に搭載されたものが多く,その画像はJPEGという非可換のデータ圧縮技術を利用し,ファイルサイズを縮小して格納される.本報告ではJPEGによるデータサイズ圧縮による青/赤 (B/R) 比の値への影響と各種デジタルカメラのデジタル画像のB/R値の差違を見るために,携帯電話端末8種類によって撮影されたほぼ同一時刻の晴天のデジタル画像を解析し,JPEGによるデータサイズ縮小の影響と携帯電話端末のデジタルカメラによる画像のB/R値のバラツキを調査した.JPEGによるデータサイズ縮小は圧縮率30%以下でなければB/R値に大きな影響を与えず,また携帯電話端末の機種によるB/R比の値のばらつきは大きなものではないことがわかった.しかし携帯電話端末によって撮影されたデジタル画像から得られたB/R値の比較を行う場合には,今回調査した機種依存によるバラツキが標準偏差で0.3程度あるため,高精度な評価や比較のためには,機種依存性を隠蔽する何らかの標準化がさらに必要であることがわかった. さらに8種の携帯電話端末と1つのデジタルカメラによる20種類の画像のG/R,B/R,G/Bの値は,ほぼ同様な空を撮影したために,G/R,B/R,G/Bの3次元で一つの平面を構成した.