Journal of Computer Chemistry, Japan
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B3LYP法とMP2法のH2, H2+, H2-の解離ポテンシャル
-HF法との比較-
SAGAN Amih長嶋 雲兵
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キーワード: H2, H2+, H2-, ポテンシャル面, UHF, UMP2, UB3LYP
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2010 年 9 巻 5 号 p. 249-254

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抄録

UB3LYP法とUMP2法によって得られた水素分子の中性H2およびカチオンH2+、アニオンH2-のポテンシャルを非制限ハートリーフォック(UHF)法のそれと比較した。用いた基底関数は6-311G**である。H2+は交換相互作用項、電子相関項がない分子であり、中性は交換相互作用項、電子相関項がある。H2-は交換相互作用項、電子相関項が電子数が1つ増えた分、H2のそれに比べて大きい。UB3LYP法によって得られたポテンシャルは、H2の場合、UHFのポテンシャルに比べ平衡点近傍の差が大きく、核間距離が大きくなるにつれて小さくなる。定性的振る舞いはUHF法のそれと同じであった。H2+およびH2-の場合、平衡点近傍を除くと、UB3LYP法のポテンシャルはUHF法のそれとは大きく異なり、核間距離が3 Å以上の所で極大値をとり、それより核間距離が大きい領域では正しい描像を与えず、期待される解離極限に到達しないことが判った。UMP2法によって得られたポテンシャルは、H2の場合、UB3LYP法同様UHFのポテンシャルに比べ平衡点近傍の差が大いが、核間距離が2 ÅあたりでUHF法のそれに一致する。ポテンシャルの定性的振る舞いはUHF法のそれと同じであった。UMP2法のポテンシャルは最適構造と全エネルギーおよび解離エネルギー同様UHF法とUB3LYP法の中間の値をとる。H2-の場合も、平衡点近傍を除くと、MP2のポテンシャルはUHF法のそれと定性的に同様であった。

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© 2010 日本コンピュータ化学会
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