大日本窯業協會雑誌
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混合ポルトランドセメントの研究 (第15報) 多量の遊離石灰含有クリンカーより混合セメントの試製
永井 彰一郎松岡 啓馬能味 健次
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44 巻 (1936) 517 号 p. 22-34

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抄録

混合セメントに關する著者の多數の研究殊に多珪酸質白土を30-50%混用した多珪酸型混合セメント及び其の凝結を促進するために石灰を適當に加へた石灰珪酸混合セメント等に於て既報の研究を繼續して行つた結果を茲に報告したので次の其の要點を摘録しやう。
(1) 第14報迄に掲げた各種の混合セメントの強度試驗は多くは4週迄の強度であつたから茲には夫れ以後8週, 13週, 26週, 52週 (1年) 等の長期硬化の強度を硬練1:3-モルタル及び軟練1:1:2-モルタルに就て比較試驗した結果を示し硬練では各種混合セメントに4週以後は例外なく普通ポルトランドセメントより優良で26-52週の強度は50-70%以上増大し尚強度の増進を止めないがら2年, 3年等の長期強度は更に優秀となる。他方軟練モルタルの強度に於ては混合セメントの短期強度は劣るが13-26週位からポルトランドセメントに肉薄し其の後は之を凌駕して來るから土木用コンクリートに最も適するセメントが得られる。
(2) 是等のセメントの中遊離石灰4-6%を殘存するクリンカーから得た普通ポルトランドセメントは極めて不安定であるのに對し之に頁岩灰, 可溶性珪酸白土等を適當に加へることに依つて完全に安定なセメントが得られることは混合セメントの特徴の一と考へられる。
(3) 從つて此の方法を延長して最初から遊離石灰を5-10%の樣に多量に含有するクリンカーを作り之に適當量の多珪酸質白土を混用することに依つて此のクリンカーだけでは到底セメントにならぬものから完全に安定で而も短期強度が高く凝結の遲くない混合セメントを得ることが出來る。之は別報したクリンカーに加ふるに白土と石灰石とを混じて豫め900℃に〓燒して白土を乾燥し石灰石を石灰にした混合材を以つてした特殊の石灰珪酸混合セメント (特許出願公告中) と同一趣旨のもので其の追加特許として出願中である。
終に此の研究にはハルピンセメント株式會社の補助を受け研究者松岡及び能味は他の各種の研究と共に相次いで會社より教室に派遣されたものである。茲に厚く感謝の意を表したい。

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© The Ceramic Society of Japan
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