大日本窯業協會雑誌
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山形産ベントナイトとその成因に就て, (IV)
六角鑛床に就て
内田 宗義
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1938 年 46 巻 546 号 p. 279-285

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抄録

(1) 山形縣南村山郡山元村前丸森所在のベントナイト賦地たる六角鑛床に就てその地質概況を記述す。
(2) ベントナイト産出の状態は (イ) 雜密錯層状, (ロ) 雜密錯斑状, (ハ) ポケット状の三態に區別し得るも, (ハ) の場合は寧ろ尠く, (イ) 及 (ロ) の形式を主とし兩者略相半す。
(3) 現地採集標本13種に就て觀察の結果を述べ, 主要標本の鏡下所見を記し, 標本の相互關係を吟味す。
(4) ベントナイトは緑色蝋樣なるものを原態とし, その後の露天化によつて黄緑, 淡黄, 淡橙, 淡桃の順序に色變し, この變化に伴つて可溶性可換鹽基の流亡, 非乾燥性蝋板状より乾燥性纎維組織を有する土状に變化す。 而して膨潤性は淡黄期を最大として兩側へ滅少の傾向を示す。
(5) ベントナイトは常に必ず明なる層理を示し, 粗面安山岩質玻璃を母體とする。 その代表的組成は標本R8にして次の如し。 R8は殆んど全部絹雲母集片組織を有する淡黄色物質より成り, 其の平均組成は最純最良ベントナイト電解物に酷似す。
(6) ベントナイトは古乃至中第三紀粗面安山岩質凝灰岩と新第三紀流紋岩質熔岩乃至火山灰との接觸によつて生ず。 ベントナイト母岩は玻璃たる事必要條件なる如し。 但し白色系ペントナイトの存在を見ず, また新噴出岩にしてベントナイト化せる例をも見ず。
(7) ベントナイトは含水舊岩に高温新岩接觸し, 舊岩中の水分の爆發壓のもとに行はれたる水熱反應生成物にして, その際他よりの水の供給必ずしも必要ならず。 即ち熱水乃至熱氣を必要とせず。
(8) ベントナイト化反應は一種のプロピライト化現象にして何れも不完全なる緑泥石化, 絹雲母化乃至パイロフヰライト化に類する特殊なる反應にして, 特に區別してベントナイト化反應なる特稱に値するものと考ふ。
(9) 六角鑛床に關する敍上諸事項は同時に荻ノ窪鑛床の場合にも共通す。 即ち荻ノ窪鑛床研究に於て假説せる次の主反應はベントナイト化の主反應と考へて差支なきものと思はる。 但し母岩一層酸性なる時は脱璃作用を伴ふ。 Ab.=Na2O・Al2O3・6SiO2 An.=CaO・Al2O3・2SiO2 (Ab.An)+2H2O=2(Al2O3・4SiO2・H2O)・(Na2O・CaO) また山形産ベントナイトの本體は第II報所論の如く結晶充分完全ならざるパイロフヰライトなりとし次の式をもつて表はし得るものと考へらる。 但し苦土の行動は明ならず。 Al2(Si4O10)(OH)2・Aq
(10) 酸性白土はベントナイト母岩よりは一層酸性にして且つ鐵苦土分に乏しき恐らく粗面岩に相當する玻璃より導かれ, 反應條件はベントナイト化反應と略同樣なるものと考へらるるも更に研究を要す。

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© The Ceramic Society of Japan
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