窯業協會誌
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石膏の形態がポルトランドセメントの凝結硬化に及ぼす影響
山内 俊吉近藤 連一頼 民権
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1954 年 62 巻 703 号 p. 776-779

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抄録

各種形態の石膏類の添加量がある標準的なポルトランドセメントの凝結硬化におよぼす影響について調べ次のような結果を得た。
1) 二水塩は凝結遅延作用が緩慢で, 添加量がSO31%より多いと規格限度内まで遅らし得るが, 3%を越す方が好ましかった。β半水塩とβ可溶性無水塩はSO30.8-1.5%の添加が適当で, SO33%では急結となった。不溶性無水塩はSO31%以上で終結時間は正常化し得るが, 始発時間は添加量を増しても十分に遅延し得なかった。
2) モルタルの強さにおよぼす添加石膏類の効果については, その形態よりSO3量が一層深く関係し, 一般にSO33%附近に最大値が認められた。ただし, 不溶性無水塩添加の場合に1日強さが他よりやや低かった。
3) 市販セメントでも, 強さその他の面から石膏の添加を増すと良い場合が多いことが知られているにもかかわらず, SO3量は1.1-1.5%が標準となっているのは, 一般に粉砕温度が高いために石膏が脱水し, 添加量が多いと偽凝結による急結を来すによるものと思われる。
4) さらに, 副産石膏の不純物として燐酸, 硫酸, 不溶性無水塩の影響についても検討を行った。
研究に当り御援助を頂いた秩父セメント株式会社諸井社長, 大友常務, 並びに吉井研究部長, 村上義一, 森仁明の両氏等研究室の方々に厚く感謝の意を表する。

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© The Ceramic Society of Japan
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