86 巻 (1978) 990 号 p. 58-66
炭化ケイ素質黒鉛るつぼは, 熱衝撃抵抗性が極めて大きく, また, 適度の熱伝導性をもっているが, 高温における耐酸化消耗性が非常に悪い. この欠点を補うため, 各種の無機質結合剤が黒鉛るつぼに添加されている.
黒鉛るつぼの耐酸化消耗性はるつぼ材に対する種々の無機質結合剤のぬれ性によって影響されるものと考えられる.
本研究では, ホウケイ酸ガラスと種々のフッ化物からなる無機質結合剤の炭化ケイ素質黒鉛るつぼ材に対するぬれ性を調べた. つぎに, 上記の無機質結合剤をケイ素鉄-炭化ケイ素質黒鉛るつぼ材に添加した場合の耐酸化消耗性を調べた.
その結果, ケイ素鉄の含有量が多く, 黒鉛の含有量が少ないほど, ぬれ性はよいこと, また, 無機質結合剤中に氷晶石を含むものが, ぬれ性がよいことがわかった.
黒鉛るつぼ材の耐酸化消耗性は, 無機質結合剤中に氷晶石を含むものが非常によく, 黒鉛を60%以下含む場合のるつぼ材の酸化消耗率は, 15%以下であった. また, 一定温度における耐酸化消耗性と, フッ化物を含む無機質結合剤のるつぼ材に対するぬれ性にはよい相関がうかがわれた.