窯業協會誌
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ボーンチャイナ素地の焼成過程
市古 忠利
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1978 年 86 巻 992 号 p. 179-186

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抄録

骨リンを使用したボーンチャイナの製造のための基礎資料を得ることを目的に, ボーンチャイナ素地の焼成過程を等温収縮の測定及びX線回折, 偏光顕微鏡, 走査型電子顕微鏡による観察によって速度論的, 微構造的に考察した. また焼成素地のかさ比重, 弾性率, 抗折強度, 透光度, 膨張係数も測定した.
昇温熱膨張収縮の結果から920℃付近と1200℃付近に明確な収縮が認められた. 920℃付近の収縮は拡散反応機構によると推測できた. 1200℃付近の収縮は粘性流動機構と結晶の溶解過程の複合した収縮過程と推測できた. 弾性率と抗折強度は1200℃以上でマトリックス部の溶融相の発達に伴い増大し, 気孔の発達に伴い減少した. 透光度はマトリックス部の溶融相の発達に伴い増大し, 膨張係数は結晶の溶解に伴い減少した.
骨リンを使用した素地と骨灰を使用した素地を比較すると, 920℃付近のCa3(PO4)2とアノーサイトの生成過程の違いを除いては, 焼き締り過程, 微構造, 焼成素地の特徴に顕著な差違は認められなかった.

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© The Ceramic Society of Japan
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