88 巻 (1980) 1023 号 p. 652-657
ケイ酸塩ガラスの耐アルカリ性に及ぼすZrO2の作用を明らかにすることを目的として, SiO2ガラス, SiO2-ZrO2-Na2O系ガラス及びSiO2-TiO2-Na2O系ガラスについてアルカリ侵食時の活性化エネルギーの測定, 侵食後の表面分析及びアルカリ溶液にZrOCl2, Ti(SO4)2, Na2SiO3を添加した時の侵食量の測定を行い, ガラス組成と侵食機構の関係について検討した. SiO2ガラス, SiO2-ZrO2-Na2O系ガラス及びSiO2-TiO2-Na2O系ガラスいずれもアルカリ侵食の速度式はSn=kt (S: 侵食厚さ, n: 定数, k: 速度定数, t: 時間) で表され, 侵食時の見掛けの活性化エネルギーはいずれも約20kcal/molであった. SiO2-ZrO2-Na2O系ガラス, SiO2-TiO2-Na2O系ガラスがアルカリ侵食を受ける場合, ZrO2, TiO2の侵食表面への残留率は類似していた. これらのことより3種類のガラスのアルカリ侵食機構は類似したものと見なされる. 従来ZrO2含有ケイ酸塩ガラス耐アルカリ性発現は主として保護膜生成によるとされているが, 本実験条件下では保護膜の生成は認められなかった. SiO2-ZrO2-Na2O系ガラスはアルカリ溶液中のジルコニウムの存在により侵食速度が著しく低下した. このことよりZrO2含有ケイ酸塩ガラスの耐アルカリ性発現原因の一つとしてジルコニウム含有化合物のガラス表面への吸着が考えられた.